ジカウイルスや単純ヘルペスウイルス2型は性行為によって感染することが知られているが、女性の腟に存在する細菌が、これらのウイルス感染を防御している可能性が米テキサス大学医学部のMegan Amerson氏らによる研究で示唆された。この研究結果は米国微生物学会(ASM Microbe 2017、6月1~5日、ニューオーリンズ)で発表された。
ヒトの腟には微生物叢(マイクロバイオーム)と呼ばれるコミュニティに住む多様な細菌種が存在する。Amerson氏らは今回、健康なドナーから採取した膣内微生物叢の検体を用いて、3D培養システムにより培養した。
その際、健康な腟の細菌叢にみられる乳酸杆菌が多いコロニー(健康な腟の微生物叢)と乳酸杆菌が存在しないコロニー(不健康な腟の微生物叢)の培養とともに、対照として細菌が全く存在しない無菌培養も行った。その上で、それぞれにジカウイルスおよび単純ヘルペスウイルス2型を感染させ、2日後に残存しているウイルス量を測定した。
その結果、乳酸杆菌が少ない不健康な腟の微生物叢では、より多くの単純ヘルペスウイルス2型が複製されることが分かった。一方、ジカウイルスについては一貫した結果が得られず、今回の研究では検討されていない特定の細菌種がジカウイルスの複製に関与していることが示唆された。
以上を踏まえ、Amerson氏は「これらの腟内細菌は、腟内の細胞の遺伝子発現に影響することで、こうした性感染症の原因となるウイルスの感染を制限または予防する可能性がある」との見方を示している。また、ジカウイルスに関しては結果が一貫していなかったことから、「ジカウイルス感染に関与する細菌種について調べるには、さらなる研究が必要」としている。
なお、学会発表された研究結果は査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2017年6月9日)
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