夜間の睡眠時間が1~2時間少ないだけで、翌日自動車事故にあう可能性がほぼ2倍になるとの研究結果が、AAA交通安全財団のBrian Tefft氏らの研究で示唆された。
Tefft氏らは同財団のレポートで、2005年7月~2007年12月に警察に報告された自動車事故4,600件近くのサンプルを対象とした米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)の調査データを検討した。特別な訓練を受けた調査者が、事故の寄与因子、ドライバーの睡眠習慣、睡眠スケジュールの変化、事故前24時間の睡眠時間を現場で評価した。自らのミスにより事故を引き起こしたドライバーと、自分のせいではない事故に巻き込まれたドライバーを比較した。
その結果、推奨される7時間以上の睡眠をとっていたドライバーに比べて、睡眠時間が少ないドライバーほど、事故リスクが高くなることが判明した。事故リスクは4~5時間しか睡眠をとらずに運転すると4倍、睡眠4時間未満では11.5倍になる。Tefft氏らは、「この睡眠不足は血中アルコール濃度0.12~0.15で運転することと同じである」としている。ほとんどの米国の州では、アルコール濃度0.08以上が法的な飲酒状態とみなされる。
事故原因となったドライバーは、事故前24時間の睡眠時間が通常より少なかったと報告し、過去7日間で睡眠スケジュールを変えた可能性が高かった。若齢および高齢のドライバーは、居眠り運転関連の事故で最も過失が大きく、事故原因でないドライバーはほとんどが中年であった。
Tefft氏は、「睡眠不足と自動車事故に巻き込まれるリスクとの関係を実際に定量化した研究はこれが初めて」と述べている。(HealthDay News 2016年12月6日)